夢見る心(オリジナル)
友達と飲んでいた。
趣味の合う、昔からの友人だ。
お互い推しがいて、推し活を楽しんでいる。
「今度の舞台、チケット5列目だったの!マジ目があったらどうしよう」
「良かったじゃん」
「良いけど良くない。推しは近くで見たいけど、こっちの存在は認識されたくないんよ」
「うん。まぁ、わかる」
近況報告に話題を転じる。
「最近どうよ」
「どうよ、とは?」
「男はどうよ」
「推ししか勝たん!推しは夢。生身の身近なオスは現実。全く食指が動かない。あ、でもこの間、食の趣味合いそうな男子いて、今度一緒にご飯行くよ」
「マジか!春!」
「いやいや。1日10食限定の幻の定食狙いで行くだけだから。食べられるといいなぁ」
うっとりとした顔で、おそらく男子でなく限定食を思い浮かべている友に、私は言った。
「ねぇ、まだ若いのに枯れてない?夢、小っさくない?もっとでっかい夢見てワクワクしても良くない?!」
それを聞いた彼女はキョトンとした。
「夢叶わないのってストレスじゃん。神頼みな大きすぎる夢はただの妄想だし。私は分相応な、うっかり叶う事のありそうな夢を見て喜びを積み重ねていきたいんだ。その方が精神衛生上良いでしょ」
「そういうもん?」
「そういうもん」
友はにっこり微笑んだ。
「ちなみに今一番の夢は、佐藤が私にプリンアラモードのてっぺんにあるさくらんぼをくれる事かな」
「ただのお願いじゃんもー」
私は笑って、彼女のささやかな夢を叶えてあげたのであった。
4/16/2026, 1:30:20 PM