喉なのか心なのか、カラダの何処かが乾き切っていて自分を満たすモンを探しとった。内側から何かを強く欲していてでも探せど探せど見つからん。夢やって気付いてようやく目を覚ました時にはもう熱中症やってん。
『不在着信11件』
画面を2度ほどタップすると半日は既に過ぎとって誰からか電話がこんなに来とった。
両親は仕事第一の人間やし私も高校生なったからほとんど家にいない。慣れとる、一人ぽっちなんか。あぁ、余計な事考えとったらまた眠ぅなってもうたわ。自分ん事はまた起きてから考える事にするわ。
つめた…い。なんや、私ん部屋こんなに涼しゅうなっとったかいな。
「あ、起きた?メシは食えそう?まず水分か…」
「佐藤。。。なんでおんの?」
「なんでって、いくら俺ん事避けてても電話だけは出てくれた奴が出なかったら心配くらいするやろが。鍵は開いとったから勝手に上がらせてもろうた」
「あ…佐藤やったんか。ごめん、迷惑かけたわ。あとは一人でできるけん、もう帰ってええよ」
「アホぉ!弱っとる時くらい俺頼れよ。何をそんな強がっとーと?俺はお前に死なれるのが1番困んねん」
死ぬって、んな大袈裟な笑 ただこんな時まで本気になってくれる佐藤に少しだけ頼もしさを感じてしもうたかもしれん。たった少しのたった一言の頼もしさ。結局私を動かすんはいつも佐藤やったんね。
「なぁ、佐藤。本当に迷惑かけるわぁ、これからも」
「…おう」
「この前の返事やけどさ、付き合おっか、私達」
「はっ!?………お前熱中症で頭沸いたんか!!?」
「なんや、付き合わんでええの?」
「いやいやいやいや…ホンマに?俺でええん?」
「ええから言っとんのよ。よろしく頼むわ、佐藤」
多分、この関係が追い求めていたものかもしれん。私を満たす事ができるんはきっと佐藤だけやんな、保証なんてないけど。心の拠り所であって欲しいよ、これからも。佐藤、アンタにはホンマに……やっぱなんでもあらへん。
題材「オアシス」
7/27/2025, 11:21:50 AM