22時17分

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記憶の海を周航する定期便。
島と本土を行き来する旅客船が、いの一番に思い当たるが、船はほかにも種類がある。
例えば、貨物船。大きな貨物が仕舞われ大量に積んだコンテナ船や、石油を運ぶタンカー。自動車専用船も回遊する。
海の沿岸や沖合では、漁を生業とする漁船が日の出とともに現れ、昼過ぎには戻っていく。これも毎日休まず、祝日という地上の縛りにしばられない。

海上から油田開発をしているのか。
クレーン付台船も留められている。
海底まで届くドリルで穴を開けて、ドロドロの黒い化石燃料を吸い上げているようだ。
予測は、何十年もある埋没量だと見くびっていたのだが、どうやら今のスピードで吸い上げていくと割に合わないらしい。だから、環境保全の声に耳を傾けて、吸収量をサボっている。油田が見つかるまでサボタージュしていてもよいだろう。
いずれこのクレーン付台船からクレーンが外され、単なる台の付いた船として、就航を開始する夢を、船は持っている。
プライベートでなくても良い。他の船と同じように、記憶能力のあるコンテナをたくさん積んで、世界一周旅行とかしたい。
そう思いながら、記憶の海の無人島としての役目を果たし、ちんたら吸っているのだ。

5/14/2025, 4:00:23 AM