今日も今日とて一輪の花を添える。
窓際に並ぶそれらは何も言わずこちらを眺める。
私も何を言うでもなくそれらを眺める。
しばらく互いに眺めあって満足したあと階下に向かう。
いつものように夜の仕度を終わらせる。
ベッドの毛布に挟まりこみ、明日をどうするか考える。
ギリギリの精神状態で運営されている私の脳は碌な思考を弾き出しはしないが、この考える工程をやめてしまっては二度と社会へ戻れやしない気もする。
私とて考える葦なのだ。
尊厳程度のものはもう二度と失いたくはない。
二階の窓際の、日に焼けてセピアになった花々を思い出す。
恐らく私も今ああなっているのだろう。
日が暮れていくのを止められぬように色褪せたものは元には戻せない。
私が殺した花々を私は救えやしないのでその詫びに花を供え、そしたまた花が死ぬ。
一番最初に供えた理由は忘れたが、医者が言うにはそれが療養を終えるにあたって一等大切なものらしい。
大方何かへの献花だったのだろうがその相手が思い出せない。
飼っていた動物か、己の家族か、はたまた自分自身か。
今日も今日とてわからぬままに一輪の花の犠牲を重ねた。
2/24/2025, 9:14:16 PM