「本当に可愛いね!」
「お人形さんみたい!」
「ふわふわの金髪が素敵!」
いつももてはやされるのは、先祖返りの色を持つ、美しいお姉さま。
くすんだ赤毛にさえない顔のわたしは、お姉さまの隣に立って、微笑んでいればいいだけだった。
「あの子が良家に嫁げば、おまえにも縁談はあるから」
両親は、物語によくある意地悪な継母たちではない。ちゃんとわたしも愛して、心配してくれている。
でも、傾きかけた我が家を立て直すには、お姉さまの美貌で、身分の高い男性の心をつかみとるしか無い。
「あなたは自由に相手を選んでいいのよ。家の将来のために犠牲になるのは、わたくしだけで十分」
お姉さまもわたしに優しい。
こんなに家族に想われているのに、恵まれているのに。役に立てない、劣等感に満ちた自分が疎ましい。
そう、思っていたのに。
「あなたは幼い頃から、私の理想の女性だった」
そう言って花束を差し出す公爵令息の青い瞳に映るのは、間違いなく、わたし。
「可愛いあなた。どうか私と結婚してくれませんか」
驚きと嬉しさで泣き出すわたしを、お姉さまがそっと抱き寄せて、囁いてくれた。
「ね? 可愛いあなたを見ているひとは、すぐそこにいたでしょう?」
お題「cute!」
2/27/2025, 10:11:58 AM