僕は毎日同級生の君の声を聞きに行く、君のいる病院まで、
あの子は別にどこか悪いわけでわなくただ少し風を拗らせただけだそうだ。噂だとそうなる、最初は病院に行って君に聞いた。彼女はいつも通り変わりなく笑顔で僕の手を握る、毎回話はそらされる。でも僕はこのときが一番生きている温もりを感じる。それが毎日の日常だ。
そんなある日、ただいつも通り帰って病院に行く準備をしてたんだ、それだけだった。
病院行きのバスの中で揺られながら外の景色を見る。
外を歩き景色を見たいと言っていた彼女にとって僕は憧れかもしれない、でもそんな憧れを当たり前にできてしまう僕は何が良いのかわからない。
病院につき受付にいつも通りの言葉を言って、いつも通りの階段を登り、いつも通り病室の前に手をかける。
ドアを開けるといつも通り笑顔の君がいたはずだった。
だが、僕の目の前にいるのは虚な目をした苦しそうな表情でこちらを見ていた君だった。
咄嗟に近寄った、もうそこからは何を喋ったかわからない。
ことの重大さが僕の小さな頭には入らなかった。
ナースコールを鳴らそうとする僕の手を君が力ない手で抑える。2人とも諦めていたんだよきっと。静まり返る病室で君が口を開く。
“ごめんね”
きっとそれが最後の言葉だったのだろう、急なことで馬鹿な僕が理解するには十分な時間が必要だった。
謝らせてしまったこと伝えたいことが伝えられなかったこと
たくさんの後悔が僕の頭を高速で駆け巡る。
感情が追いついたのだろう。視界が涙でぼやける。
笑顔で手を握ってくれた君に対して僕は涙を流して縋り付く
なんて情けないんだ自分でもそう思った。
なんてことない日常に君がいたんだ特別だったんだ
僕は本当にずるい、伝えたい言葉も伝えられずましてや今言おうとしてる。
君だけに送るきっと君も僕にとっても最初で最後の言葉。
“愛してるよ”
6/27/2025, 6:26:08 AM