最初から決まってた。
そうさ、決まってたんだ。
そのことに僕は気付いていた。最初から。
でも、気付いていた事に気付いたのは、君と出会ってからだった。
お母さんのご飯が美味しい事も、お父さんの力強さのおかげで生きている事も、友達が知らない世界を見せてくれる事も、子どもがどうしようもなく可愛い事も。
僕の周りは穏やかで、僕が恵まれた人生を謳歌出来るような環境だった事も。
そんな中で、君は目を伏せて言ったんだ。
「君には、僕の気持ちは分からない。
そして、僕も君の気持ちが分からない。」
「そうだった。」僕はその時初めて気付いた。
もし、君と僕が出逢う事が決まっていたんだとしたら、僕は君に言いたい。
「僕は君に出逢えた。
それだけでもう十分嬉しいんだ。」
そう、言いたかったのに。
8/7/2024, 10:38:31 AM