「涙の理由」
理由なんてなんでも良かった。君が私の隣で泣いてくれるなら。部活終わりの夕暮れ、駅前の公園。電車の来る気配のない駅に人通りはほとんどない。カラスの声と、君の洟をすする音だけが聞こえる。友人として過ごした2年弱の期間、泣いている姿はほとんど見たことがない。そんな君が泣いている理由に、ほとんど興味はないなんて、君が知ったら怒るだろうか。だって理由なんていらない。君が涙を流す場所として、私の隣を選んでくれたのだから。地球は誰も一人で泣かないように丸くなったというが、それは隣にいることとは違うだろう。私が今隣人にできることはこうして同じベンチに座り、ただ黙っていることだ。こんな時理由を聞くべきではないということは、自分の経験上知っている。そう、私がすべきことは。落ち着いてきたようだ、深く呼吸をした隣の君の方を向いて、ニヤッと笑って一言。
「今コンビニの唐揚げ、一個増量中らしいよ。」
10/10/2024, 2:33:16 PM