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『雨に佇む』(創作)

ワイパーが忙しなく動く。雨の日の運転は苦手だ。視界が悪い上にタイヤも滑りやすい。
しかも、今走っているのは暗い山道だった。安全運転を意識しながら曲がりくねった道を行く。

しばらく走ったところで、フッと白い物を追い越した気がした。しかし、気のせいだろうと、そのまま走り去る。どことなく人影にも見えなくはなかったが、こんな山奥で人影なんて、まっぴらなので、見て見ぬふりをした。

もうすぐ目的地だ。



雨に佇む白い人影は、走り去る霊柩車を見送った。
自分を乗せた霊柩車を。

8/27/2024, 11:49:09 AM