るに

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えへへ。
ニコニコと笑顔な少女には
悩みなど知らないような
明るいオーラが付きまとっていた。
余程いい事があったのか
いつにも増してご機嫌だ。
買っちゃった!
買っちゃったぞ〜。
一緒に使う友達いないけど、
腕時計型トランシーバー!
袋の中の箱にはトランシーバーが1つ、
もう1つは既に少女の腕に付けられていた。
ぬいぐるみにでも付けて
ままごとでもするのだろうかと思われた。
しかし
少女は川に投げ捨てた。
そしてコールを待ったのだ。
何時間も、何時間も。
大きなコール音が鳴ったと思ったら
わぁ!と声を上げたが
少女はすぐに応答し、
"Good Midnight!"
こちら、白雲峠より旅に出た者です。
状況報告します。
星が降っています。
いい夜です。
と言った。
向こう側はなんて言っているか
聞き取れなかったが
構わず少女は続ける。
私の声が聞こえ、状況確認が完了しましたら、
また川に流してください。
どうやら色んな人と話すことが
少女の目的のようだった。
子どもっぽいけど
どこか言葉遣いが大人というか、
手慣れてるというか。
上を見上げても
夜じゃないし、星も降っていない。
白雲峠というのも聞いた事がない。
謎しか浮かばない少女は
鼻歌を唄いながら
スキップでどこかへ行ってしまった。
まるで流れ星のように。

1/26/2025, 2:19:28 PM