「親友」
出会った頃は、仲が悪かった
悪いというより、親友が一方的に私を嫌っていた
理由はあまりにも幼稚かった
小学3年生の頃、書道の大会で
私が優勝、彼女が準優勝だった
親友は、ただただ悔しくて
私のことを嫌っていた
当時のことを親友は
「そんなことあったっけ?」
とあっけからんに話す
こんな出来事を忘れてしまうくらいに
なぜかずっと一緒にいて
小学生から中学生
中学生から高校生
高校生から大学生と
青春時代を駆け抜けた
好きな人に振られて
号泣した夕方のベンチも
受験勉強から逃げたくて
一緒に食べたパピコも
初めての旅行で
東京駅の路線に戸惑い
電車に乗り遅れたことも
あなたとだから
全てが楽しくて仕方がなかった
彼女が上京する最後の夜
一緒に1枚500円のプリクラを撮った
「出会った頃は300円だったのにね」
「化けすぎてもはや誰」
なんだかんだ文句を言いながら
お互いのスマホケースに入れた
見慣れすぎてなんとも思わない帰り道
彼女は最後に言った
「さよならは言わないで、寂しくなるから」
私は答えた
「言うわけないよ、じゃっ!」
彼女は笑った
そんな親友は年末、実家に帰ってくる
2024/12/3 さよならは言わないで
12/3/2024, 12:38:55 PM