じりじりと、頭を焦がす強い日差しの下だった。
俺は、神を拾った。
お守りとかお札とか、そんなんじゃない。
人間の形をして、淡く光る何かだ。
初めは俺だって疑って、近付く気は無かった。
しかし、いくら歩いてもこの何かから離れることはできなかったのである。
一歩歩いて、二歩歩いて、そこまでは動ける。
けれど、三歩目は許されないようで、風も音も一切無いまま、元の地点に戻されてしまう。
そんなこんなで、仕方なく、本当に不本意ながら、俺はこの不審生物を家に上げた。
奴は本当に人間のことを何も知らないようで、俺の家に乗り込むなり早々、狭いだと汚いだの散々不満を垂れてきた。
追い出そうとすれば、さすがにそれは止んだが。
呼称が無いのも不便だろうと、仮で名前を付けた。
鬱陶しいくらいの晴れの日に拾ったそいつは、適当にそれらしい字をこねくり回してヒナタと名付けられた。
ある日、本当に神なのか疑わしくなって、ヒナタを突き回してみた。
初めてきゃらきゃら笑うだけだったヒナタも、ずっと無言で突かれ続けると困惑の気配が滲んできた。
ふわふわと淡い光を放ちながら、俺の手を止めることもできずオロオロしているヒナタな、やけに可愛く見えた。
ヒナタは観察した俺の身体をベースに自分の体を模っているらしく、初めは性別も曖昧だった肢体は、確実に男性的になっていた。
ヒナタが人間の真似も随分上達して、一人で買い物にフラフラ出かけることも多くなっていた、ある日だった。
最近は消せるようになってきたとはいえ、淡く光っていたヒナタのことを怪しむ人々も一部にはいた。
でもこれまでは、そんな人々もさすがに遠慮の感情はあるのか、或いはヒナタが何かしていたのか、家に来るようなことは一度もなかった。
しかし、今日。
ヒナタが出かけていたある時、インターホンが鳴ったのだ。
男の一人暮らしで警戒心のけの字も育たなかった俺は、無警戒に扉を開けてしまった。
そこにあったのは、好奇と疑いと、異端者を排除しようとする者たちの歪んだ光。
俺は手首を掴まれ、そのまま家から引きずり出された。
その瞬間だった。
ヒナタを拾ったあの日、快晴のあの日のような、眩い光を背負ったヒナタが、これまでに見たことがないような顔で立っていた。
次に俺が瞬きをした瞬間には、全てが終わっていて、何が何だか理解もできなかった。
ヒナタは快晴の空の光を浴びながら、無垢で純粋な、何の曇りも無い笑顔を浮かべている。
翌日。俺の家の周辺で、数人の男女が行方不明だとニュースキャスターが話すのを、俺はぼんやり聞いていた。
テーマ:快晴
4/14/2026, 9:17:10 AM