題 衣替え
「ねえねえ、見て!この服、こないだ衣替えして出てきたの、私のお気に入りコーデ!」
少し肌寒くなった秋、私は衣替えで出てきた去年の服を着て、幼なじみのハルトの所へいそいそとやってきたんだ。
実はハルトのこと気になってるし、あわよくば褒められたいという下心付きで。
「ふーん」
ハルトは私を一瞥すると、手元の携帯の画面に視線をすぐに移した。
「ちょっと、何よ、その反応?似合ってるとかそういう言葉はないの?」
「似合ってるんじゃない?あ、よく見るとすごーく似合ってたわ」
厭味ったらしくいうハルトに私の怒りゲージがじわじわ上がっていく。
「ねえ、そういう言い方で言われても全然嬉しくないんだけど」
「はぁ?じゃあどういう言い方だと納得するわけ?」
ハルトとこんな会話したいわけじゃないのに。
好きな人とこういう言い合いになっちゃうことに悲しい気持ちになる。
「えっと、ドラマの中のイケメンみたいに、似合ってるよ、かわいいよとか」
「・・・本当に、そんな事言われたいって思ってる?」
ハルトの呆れ顔に私はうつむく。
良く考えるとハルトのキャラじゃなさすぎる。
プラスそんなこと言われたら私の心臓がもたない。
「あ、やっぱ・・・」
いいって言おうとして顔を上げるとハルトが間近に移動してきてた。
おまけに、顎に手をかけて上を向かされる。
「似合ってるよ、ミカ、凄く可愛い」
・・・一瞬で私の体内の血液が沸騰したかとおもった。
グラグラと煮立ったように全身が熱くなって固まっている私を見て、ハルトは面白そうな顔をする。
「大丈夫?凄く赤くなってるけど」
「だ、大丈夫っ、気にしないでっっ」
勢いよくいい切ったけど、ハルトはケラケラ笑ってる。
くそぉ、全然私のこと意識してないな。
みてなさい、絶対に私から視線を外せないように可愛くなってみせるんだから。
私はハルトを強い決意の眼差しで見ながらオシャレ研究頑張るぞ、と思ったのたった。
10/22/2024, 1:19:26 PM