るに

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勝手についてくる猫。
まとわりついてきて
邪魔で仕方なくて
追い払ってもまたついてくる。
いい加減何処へでも行けばいいのに。
なんて、
本当は嬉しい。
後ろを向けば綺麗な黒猫が
長い足を優雅に出して歩いてるんだもん。
いつしか後ろに猫がいることが
当たり前になってた。
友達や家族には
邪魔、黒猫とか不吉、なんて言ってるけど
人間の中にも素直になれない所じゃない、
口から勝手に嘘が出てくるような
本当のことが全部口に出せないような
私みたいな人がいる。
今逆のことを言ってるんだって
わかってくれる人なんかいない。
だから本当に思ってること、したいこと、
やりたいことは
絶対伝えられない、出来ないに近しい。
ある天気のいい日、
よそ見をしていて
車が来てることに直前まで気づかず
私は間一髪で止まることが出来たが、
私の後ろにいて
私で車が見えず
私を頼りに歩いていた猫は
飛び出して轢かれてしまった。
多分足の骨は折れてる。
脈はまだある。
呼吸は浅い。
ぐったりしてる。
すぐに病院に連れて行かなきゃいけないと
思ったのに、
家族に猫を見せて
病院に行こうって言おうとしたのに
今まで猫を鬱陶しいと思ってると言ってたせいで
言い出しづらかったし、
目を丸くして猫を見てる家族が
なんだか他人に思えてしまって。
泣きそうになったから
家を飛び出した。
"Good Midnight!"
泣き顔なんて醜いもの、
絶対見せないから。
家族や友達や誰の目も汚染しないように
下を向くから。
だから猫を助けてよ。
心の中はいつも正直で
言葉が詰まらずに出るのに。
しょっぱい涙が
私の頬を伝った。

3/29/2025, 3:48:20 PM