『神様へ』
毎月一度は近所の神社の神様へ会いに行く。このあたりではわりと大きい神社には初詣や季節ごとの祭りにも観光客が観光バスに乗ってやってきたりするのだけれど、平日の朝はあまりひと気もなく神主さんたちもまだ出揃っていない。
「よう」
「どうも」
神様は意外と気さくに声をかけてくれる。
「きょうは何持ってきた」
「今年のたけのこですけど、まだ手洗ってないんで定位置で神様らしくしててくださいよ」
「はいはい」
気さく過ぎるのも考えものだなぁと思いながら手水舎で手を洗い口をゆすぐ。拝殿の賽銭箱の前にたけのこを供え小銭を入れ、二礼二拍手一礼。その間にたけのこから何かしらが持っていかれる。
「なかなかいいたけのこだ。いつもありがとよ」
「お世話になっておりますので」
お供えのお下がりであるたけのこは行きよりも帰りのほうが少しだけ軽い気がする。
4/15/2024, 3:21:52 AM