「ごめん、お前の気持ちには答えられない。」
はっきり。さっぱり。ばっさり。
言われてしまった。
やはり、現実は漫画や小説のようにはいかない。
どうして期待してしまったんだろう。
どうして、伝えてしまったんだろう。
後悔が身体中を駆け巡り、気持ちの悪い熱が生じる。
「え…と、な、なーーーんちゃってーー!引っかかってやんの〜!
なーに本気にしちゃってんのさぁ」
ぽかんと口を開けた君はみるみる紅潮していく。
「お前が俺をすきなんて、ほんとうに悪い冗談だな!悪趣味だぞ」
と怒る。おどける僕をこづきながら、「お前はいつもいつも――」と小言を言う君。
泣いてなんかない。
「僕、悪趣味なんだ。」
君に聞こえないよう、僕はぼそりと呟いた。
3/17/2023, 10:44:57 AM