お題『宝物』
腐女子であることが母親にバレた。母親が私が部屋に置きっぱなしにしていたBL同人誌を手に取っていたからだ。
私は思わずカバンを床に落とし所、あわ、あわと震えた。
すると、母はふ、と不敵な笑みを浮かべ始めた。
「ついてきなさい」
部屋を出ようとする母に促されるまま、私はついていく。うちにはそういえば地下室があって、でも小さい時から「入らないで」と言われてきたから入らないでいたんだっけ。おまけに地下室の部屋は鍵がないと入れないらしい。その鍵のありかを私は実は知らない。
母は地下室へ進み、鍵を使って扉を開ける。そこに広がっていたのは、とんでもない光景だった。
ぎっしり詰まった本棚。それに目につくのは、私が小さい時見ていたアニメのイケメンの等身大パネルだ。
実は母もオタクだったのだ。その事実を十九年間生きてて初めて知る。
「血は争えないってことね」
そう言いながら母は、部屋の中に入ると本を一冊取る。それはさっき私が読んでいたカップリングと同じだった。
「お母さん!」
私は部屋に入ると母親と熱い握手を交わした。
11/20/2024, 11:49:49 PM