谷折ジュゴン

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創作 「もしも未来を見れるなら」

友人の家へ着くと彼女は、分厚い文献の頁をめくってはノートを録っていた。床には難しい内容が書き込まれたルーズリーフが沢山散らばっている。

「凄い、これ全部調べたの?」

一枚を拾い上げ、わたしは感心する。コピーされた写真や文章が張り付けてあり、その横に友人の補足情報が丁寧にまとめられているのだった。

「物語の創作は主人公たちの未来を見通す作業だからね、伏線にも説得力を持たせたいの」

わたしは未来を見ずともわかる。友人の創作への情熱は失せることはないと。そして、友人が書くものは必ず「おいしくなる」のだと。
(終)

4/19/2024, 10:55:33 AM