20 明日世界がなくなるとしたら、何を願おう
あした、僕の町に隕石が落ちる。
世界がなくなったあとにもワンチャン存在を誇示したい気がして、片っ端から本を読んで方法を考えた。
氷河期から残ってるマンモスの死骸、長いこと姿の変わらないシーラカンス、エジプトから出てくるミイラに、縄文時代の土偶、骨が炭化したダイヤモンド、鍾乳洞でしたたり続ける水。
果たして土に埋まるべきなのか、水に浸かるべきなのか、棺に寝るべきなのか、氷に張り付くべきなのか、洞窟に入るべきなのか。
結局よく分からなかったので、冷蔵庫にハマってみた。狭くてひんやりしていて、とても落ち着く。このまま目を閉じて、穏やかにコールドスリープに入れればいいのに。
まあとりあえず、からだを丸めて、静かに終わりを待つ。干からびた玉ねぎと霜がまじりあったような、冷蔵庫の匂いがする。普段からもっと、綺麗に掃除しておけばよかったな。
5/7/2023, 5:02:23 AM