300字小説
夢か現か
宇宙飛行士になるのが夢だった。宇宙エレベーターの先端の研究所で技術者達と最先端の研究を行うのが。しかし、現実は俺はしがない作業員としてエレベーターの保守点検をする毎日だ。だが。
「いつ見ても、これが現実とは思えないな」
浮かぶ青い地球。灰色の月。鮮やかなガスに彩られた無数の星。現実なのに夢のような光景が目の前に広がっている。
作業を終え、事務所に戻ると携帯端末に妻と娘からのメッセージが届いていた。
「おっ、着いたか」
俺に会いに、エレベーターのホテルに二人が来てくれた。端末で事前に予約した展望台の日時を確認する。
この夢のような現実に娘は何を感じるのだろうか?
唇が緩む。俺は彼女にメッセージを送り返した。
お題「夢と現実」
12/4/2023, 11:54:04 AM