ストック

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Theme:ススキ

今日は姪を1日預かることになった。
姪にとっては初めて親戚の家へと泊まることになる。
大人しくてはにかむような笑顔が可愛い子なのだが、正直言って私は子どもの相手をすることはあまり得意ではない。
子どもの行動は私にとっては予想不能だ。指示すればその通りに動いてくれるプログラムと違って、どれだけ予備知識をつけても予想の斜め上の反応が返ってくることも少なくない。
でも、姪にとっては私も同じだろう。家族と違う人と丸1日過ごすなんて、寂しかったり緊張したりするかもしれない。
折角なら楽しい時間を過ごして欲しいと思った私は、事前に姉から姪の好みや性格などを事細かに聞き出し、話が決まったときからお出迎えするプランを練っていた。

事前に聞いていたのだろう。姪は「よろしくお願いします」と礼儀正しく挨拶してくれた。が、表情はやはり強ばっている。
植物が好きだという姪のために、私は殺風景な自室に花を置き、植物をテーマにしたボードゲームで遊ぶことにした。
それにしても、子どもの探求にかけるエネルギーは物凄い。ボードゲームを遊びながら、姪は植物についての知識をたくさん披露してくれた。その笑顔と熱量に後押しされて私も植物に興味が出てきてしまい、ボードゲームが一段落したあとは花屋巡りをすることにした。
姪を預からなかったら、こんな経験はしなかっただろう。
カラフルなケイトウを一株買って、姪に教わりながら一緒にプランターに植えることにした。土のブレンドから日々の世話の仕方までレクチャーしてくれた。
「花屋さんみたいだね」
そう言うと、姪ははにかんだように笑ってくれた。

姪が帰ってから数日後、姪からススキをあしらった手作りの栞が送られてきた。
ススキとはずいぶん渋いチョイスだなぁと思いながら、ススキについて調べてみる。

私はなんとなくススキに寂しげなイメージを持っていたが、ススキは魔除けとして扱われることもある神聖なイメージも持ち合わせているらしい。
花言葉はたくさんあったが「心が通じる」というものが私の目を引いた。友人に心が通じあった時に贈ることがあるそうだ。
植物を通じてできた絆。仕事に忙殺される私の心は、それはとても温かみがあるように感じられた。

私はススキの栞を本に大切に挟むと、お返しに贈るための花とそのアレンジの仕方を調べるために、私はPCに向かった。

11/10/2023, 11:49:03 AM