望月

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《星空の下で》

 人工的な光の下では、その輝きは見えにくくなる。
 だから、久しぶりにここに立つと。
「——っはぁ……ッ」
 魅せられる。

 息の詰まるほどに敷き詰められた星々は、決して美しいとは呼べないかも知れない。
 小さく、呼吸のように点滅を繰り返す星々は、意思のある大きな流れを持って成されているかのようだ。
 僅かに差のある、色とりどりの輝きが空を満たす。
 星の光は何光年も前の輝きというが、どうしようもなく不安定なものではないだろうか。
 時折輝き、それを失うもの。
 されどまた、充ちて輝くもの。
 その刹那の光に魅せられる。

 この筆舌に尽くし難い光景は、まだ見慣れない。
「……あぁ、」
 また、一つ、星が消えたように見える。
 また、一つ、星が増えたように見える。

 夜空を、星空に染め上げる輝き。

「……人の命というのは、短いモノだな」

 そう言って、星空の下で臨界したナニカは去った。
 それは少女のようで、老爺のようで、青年のようで、老婆のようで、少年であった。
 いつぞやの、誰かであった。

4/5/2024, 3:19:49 PM