山百合

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・4『窓越しに見えるのは』

「赤い糸ですか……私も運命の赤い糸で結ばれた人と早く出会いたいものです。それじゃあ私はこれで」
私は男にそう告げ玄関に向かった。

わざわざ見送ってくれる男が言う
「奪い、与えるのが私の仕事だからね。貴方はまだ若い。奪うことも与える事も不慣れでしょう。しかし経験を積めば少しくらいのワガママもなんとかなるものです」

「そら、外をご覧なさい」

廊下の窓から外を見ると、随分とアヤシイ雲行きになっていた。さっきまであんなに明るかったのに。

その時雷が光った
窓全体が白く光り、家の中が見えなくなるほどだった。
しかし雷鳴はしなかった。

【続く】

7/1/2024, 2:18:10 PM