『子猫』
猫はいいものだ。あの気まぐれなところと、もふもふとした毛並み、ポフポフとした肉球。たまらなく可愛い。
成猫ですら可愛いのに、子猫の可愛さときたら犯罪レベルである。
ころころと転げながら走ってくる様はもちろんだし、甲高い声で鳴いてミルクをねだるのもいい。可愛いとはまさに猫のためにある言葉である。
などということを、うちの最年少の彼が熱弁している。
子猫をたくさん侍らせて、頬を上気させ実に幸せそうだ。
今日は子猫と戯れる、という番組の企画で都内の有名な保護猫カフェに来ている。
そこは子猫ばかりがおり、条件が揃えば子猫を引き取ることができる。
最近忙しい僕たちをねぎらってのことだが、動物が苦手なこちらとしては正直あまり癒されない。
蛇蝎の如く嫌っているわけではない。あのふにゃふにゃとした体を抱っこするのが、潰してしまいそうで怖いのだ。
子猫にビビる僕が面白いのか、他のメンバーが近づけてくる。
あっという間に、僕の膝の上が子猫に占領されてしまった。
ミーミー泣きながら子猫たちが蠢く。果敢な子が体をよじ登ってくる。柔らかいその毛並みと、高い体温、ふにゃふにゃの体。
――可愛い。
一匹が登れば他の子たちも登ってくる。肩や頭の上、背中にまで行こうとする。
たまらない。可愛い。
そんな可愛さにあっさり陥落した僕は、好きな動物ランキングの上位に猫をランクインさせたのだった。
11/15/2023, 11:19:34 AM