あどけないあなたに恋をしていました。
背が低いあなたはコロコロと鈴を転がすように笑う人で、笑うと頬が僅かに赤くなるから、まるでリンゴの妖精のようだと、私はよく思っていたものです。
海外の血が入っているようで、あなたは綺麗な赤毛の持ち主でした。
周りと違う容姿に心無い言葉をかけられていましたが、あなたはそれを気にする素振りは見せず、むしろ自身の髪を紅葉みたいだ、と言って笑っていました。
紅葉、という例えはなかなか当てはまっていて、押し花にして一年中眺めていたいと思える美しさがあなたの髪にはありました。
そんなあなたは、冬へ季節が移り変わった頃、遠くの町へ引っ越してしまいました。
私はその時、悲しくて、悲しくて、何度も何度も涙を流したのです。
あの頃は、どちらも相当幼かったので、私に釣られてあなたも徐々に目に涙を滲ませて。
最終的には、どちらも泣きじゃくって会話にならなかったのを、よく覚えています。
また会おう、そう言って指切りをしました、
もう何年も月日が経ちましたが、未だにその約束の日は訪れていません。
もしかしたら、あなたはあの約束を忘れてしまったのかもしれない。
いや、それともしっかり覚えていて、ただ単に、私に会いに来てくれる準備が整っていないだけかもしれない。
それとも、他に大切な人が出来たのかもしれない。
どちらにしても、私は秋が来る度に紅葉を見に山を登るのです。
はらりと宙を舞う紅葉を手に取って、赤毛のあなたを思い出すのです。
『秋恋』
9/21/2024, 11:23:34 AM