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楽園

 三蔵法師が目指した、天竺への旅路の途中にあるガンダーラは、ある種の理想郷、楽園とされることがある。

 ガンダーラは古代インドに実在した王国だ。西遊記の中で具体的な描写があったかは記憶にないが。ヘレニズム文化と仏教が融合した、独特の仏教美術が発展した国際商業都市だったらしい。
 
 何を言いたいかというと、楽園は実在した、ということだ。夢や空想、ましてや現実逃避ではない。ガンダーラは実在したのだ。それは当時の中国の人々からすると、距離的な意味で「遥か遠く」、だったかもしれない。だが、三蔵一行は己の歩みでそこを通過した。楽園に人は届くのだ。

 現在では、距離の問題はあまりないかもしれない。現代人にとっての楽園という目的地は、地理的なものではないだろうから。

 でも届くはず。己の歩みをとめなければ、自分にとっての楽園にも必ず。

 

 
 

 

4/30/2024, 10:01:38 PM