紫苑

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夏の終わりが好き。

ひぐらしの鳴き声が聞けるから。

あの声を聞くと懐かしい思い出が蘇る。

よく遊んでいた友達のこと。
明るくて、ときにやんちゃで、とても可愛いあの人のことを、思い出す。

でもある夏の日避けられるようになってしまった。

いつもは、インターホンを押して、
遊ぼう。と誘ってくれたのに、それがなかった。

家にいないのかもと思ってあまり気にしていなかったが、外からあの人の声が聞こえてきた。

だから、外に出てそばに寄った。

でも、私を見ても話しかけられることもなく、無視されてしまった。

私は気にしない素振りを見せて、踵を返した。

それでも、本当はすごく悲しかった。

ねぇ、なんで?
友達だったのに、
私、何かした…?

いろいろな感情が溢れてきて、森に逃げ込み、泣いた。

私が、ここにいられるのは、長期休みの間だけだった。
だから、夏休みが終わる前に帰らなければならない。

こんなに、楽しくない夏休みは、今までなかった。

途方もなく長く感じた夏休みの最後、
一番鮮明に覚えているのが、ひぐらしの鳴き声だった。



このときからだっただろうか、?
夏が大嫌いになったのは。

ひぐらしの鳴き声が好きになったのは、夏を終わらせてくれる声だったから。


ねぇ、昔みたいに、みんなで遊びたいよ。
ねぇ、なんで…?
いつ、間違えてしまったのだろう。



『夏』

6/28/2024, 12:40:36 PM