あの人は私の事が大好きだった、と思う。
いつも私の側に居る事を望んでいたし、口癖は「君の望む方にしよう」だった。
あの人はいつも優しかった。
「なに食べる?」
「君はなにが食べたい?」
「手を繋いでもいい?」
「もちろん、君がいいなら是非繋ごう」
「私、どっちの道に進むか迷ってるの」
「君の望む方に行けばきっと上手くいくさ」
いつも私を隣で見ていてくれた。時には背後から支えていてくれた。
本当に出来た恋人だと思うし、彼が私の側に居て良かったと思う。
それでもね、貴方は私の些細な悩みも知っているけれど私は貴方が居酒屋でいつも頼む食事すら知らない。
時々、本当にそれで良いのかなと思っていた。
そんな不安が膨れすぎて、それでも貴方は私を優先してくれると知っているから。
いつもと違うデート、いつも私と横並びに座る癖のある貴方を先に座るよう催す。
貴方と私、最初で最後の向かい合わせ。
8/25/2024, 1:29:11 PM