「死ぬまでにしたいことぉ?」
「そう。まぁ、なんとなくね」
「はーん……せやなぁ、俺は……
……あかん、思いつかんな、そんなパッとは」
「それはそうでしょう。愚問やったね」
「いや、それはええねんけど。
突然変わったこと聞いてくるやん」
「なんとなく、思いついただけやけど……
ほら、ここの連中みんな死が近いから」
「ああ確かにね。それはそう。
うん、そう思うと色々やりたいことはあるな」
「でしょ?」
「聞いてきたあんたはどうなん?」
「私?そうだなぁ…もう一度生徒に会いたいかな。
変わったやつがおったから」
「へー。どんなんやったん?」
「おちゃらけたような、毎日気楽そうにしとった女学生」
「ふーん」
「特に他意は無いで。ただ、元気にしとるかなって」
「ああそう。なるほどねぇ」
「まあ、気にしてられるほど
のんびり過ごしてはいられへんよね。終わりにしよ」
「せやなぁ」
────ある日の話:9
11/3/2021, 8:26:27 AM