るあん

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僕は昔から香水が嫌いだった。

父が再婚を繰り返し、色んな女性が母になった。最初は優しかったはずがいつからか僕に当たりが強くなった。父の再婚相手は、香水を身に纏っていた。

(あぁ、この人もまたみんなと同じ、僕に当たりが強くなるんだろな)
信用したら、心を許したら、いつか痛い目を見るんだ。絶対に、心を許していけない。。。

僕はいつからかそう思うようになって、人間不信になって行った。父にはもちろんこの事は言えない。心配をかけたくない。自分のプライドがそれを許さなかった。

父の再婚相手が僕の名前を呼ぶ。ご飯の時間だ。料理はとても美味しんだ。僕の実の母の味と似ている。懐かしくなる。寂しさが込み上げてくる。悟られてはいけない。そこに付け入られてはダメなんだ。。。。ダメなんだ。ポロ……ポロ……

「大丈夫?不味かった?作り直す?」

違うんだ。ただ。懐かしさと寂しさと不安と色んな感情が混じりあって涙が溢れてきただけなんだ。

信じちゃダメなのに…心を許してはダメなのに…この人なら大丈夫だろうと心のどこかで思っていた自分がいる。この人の匂いは好きだ。なぜか安心出来る。


僕は香水が好きだ。母がつけている香水が好きだ

8/30/2022, 2:06:48 PM