「束の間の休息」
浅い眠りの先での体験を記録することが趣味の一つだ。
今日は腹をメスで引き裂いて、溢れ出た肝臓を取り出して遊んでいた.... 無邪気な子供みたいに。
肝臓が腹をさいて1番に出てくるなんて変な話だ。腹の中も血どころか何も入っていないかのようにポッカリとあいていた。
でもそんなことを考えられるほど夢の中の私は大人じゃなかった。
メスで肝臓を好きに切って遊んでいた。
サクサク、ぷりゅぷりゅといい感触だった。
本当に本当に楽しかった、でも私は、ふと気がついてしまった。
この肝臓を身体に戻したら、どうなっちゃうんだろう。
私は急に真っ青になった。
どうしよう、自分の肝臓をバラバラにしてしまった、死んじゃう、死んじゃう。どうしよう。急に少し大人になった私が強い恐怖を覚えた。
怖くて仕方なくて、焦って、バラバラの肝臓をそのまま腹に押し込んだ。痛いのか痛くないのかわからないけど少し痛いような気もした。
そこで.....目を覚ました。
現実で体感したような空虚感の余韻があった。
それが良い話の種になるのは、詳細を忘れて現実と夢の区別がハッキリ着いた時だ。
現実では体感できないことを、体験できた。その感覚がたまらない。
束の間の休息で得られるこの趣味が、誰かの夢を呼べばいい。
10/8/2022, 2:03:24 PM