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 路地を入った先に、ひっそりとある喫茶店によく行く。落ち着いた雰囲気の店内は、ソファが均等に並んでいる。その中の一つに腰掛けて、注文を終えると、壁沿いの本の棚を見に行く。

 自由に読むことができるのだけど、ほとんど読む人はいない。その中の、とりわけ分厚い本を手に取り見ると、紙のしおりが挟まっている。

 細かい章で構成されているその本は、しおりが入っている場所がいつも変わっている。その箇所を読むと、いつも面白いと思う。

 そして、読み終わるともう一章自分で読んで、またその章にしおりを入れる。友人との秘密の遊びなのだけど、いつも楽しみにしているのだ。


「二人だけの秘密」

5/4/2026, 8:38:46 AM