ナナシ

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星空の下で

「またね」
 それだけを残して君はいなくなった。だいぶ暖かくなった風に誘われて、花弁のように、いやに軽やかな足取りで。遠い、遠い場所へといってしまった。
 ねぇ。君は今、なにを思っているんだろう。つらくはないだろうか。かなしくは、ないだろうか。
 だいぶん暖かくはなってきたけれど、夜風は未だ冷たいばかりだから。ひとりぼっちで凍えていないだろうか。
 望遠鏡をいくら覗いても、君の姿だけは見えないんだ。

4/5/2023, 1:58:24 PM