ゆーらゆーら。
そんな音が本当に聞こえそうなくらい、隣のあの子の乗るブランコは現実の音を一切出さずに揺れている。
私の乗るブランコはギィ、カチャ、と金具が擦れる音が断続的に鳴っている。
この違いはなんだろう。
あの子がこっちを見た。にこっと笑うと、ブランコから飛び降りる。
両足をそろえて音もなく着地したその子は、もう一度こちらを振り向いて笑ってみせると、公園の出口へと走り去っていった。
私も真似してブランコから飛び降りる。
ギッ、と金具の擦れる音、次いでドシュッ、と私の着地する音。
どうしてこうも違うのだろう。
体重の違いかな。もしかして私、重いのかな。
そう思いながら、公園の出口に向かう。
そして気づく。
昨日は雨が降ったせいで地面はぬかるんでいて、後ろを見れば私の足跡が点々とついてきていた。少し左には公園に来たときにつけた靴の形が。
それ以外の足跡は、どこにもない。
だけれど確かに、背後のブランコは2つともゆーらゆーらと揺れていた。
2/1/2024, 10:26:39 AM