『誰もが 幸せになりたいと願う』
──個人的な考えだけれど不幸になりたいと心底願う人間はいないと思うわ。
彼女はそう呟いた。不幸になることが心の平穏を保つのであれば、それはその人にとってある種の利益や救いとなるのでしょう と。
そんな風に 誰も己の為に生きている のだと。だからこそ他人に優しくもできるのだと彼女は言った。
「幸福を願う。それ自体は悪いことじゃない」
摂理だわ。寧ろ そうでなくては生きている意味もないでしょう? 自分の為に生きていればそれでいいのよ。
ただ、己の為の人生を彩る一部として他人の存在がそこにあって、例えば笑顔やお礼に価値を感じて そうやって親切は広がっていくのだと。
「だからね、自己中心的でも別に構わないのよ」
自分を大切にするように相手を尊重して認めてあげさえすれば それだけで。
そうやって花のように笑う彼女はきっと誰より芯のある優しさに充ちていた。
2/10/2024, 3:49:22 PM