緋鞠

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「人ってね、死んだら星になるんだって!知ってた?」

ある夏の日、僕は孤児院に入ることになった。別に話し相手なんていなくても良かった。それなのに彼女は毎日僕に話しかけてきた。好きなことの話、孤児院での生活の話。彼女は重い病気らしい。もう、治らないぐらいに。そのくせに、大人しくするのは嫌いなようで、いつも年下の面倒を見たり、外で走り回ったりしている。
ある日彼女はいつもよりはしゃいでいた。彼女が言うには、人は死んだら星になるらしい。彼女はあの星になりたい、だとか、どんな風に見えるのかな、だとかいろいろと言っていた。
「死んだ人全員が星になったんじゃ、今頃宇宙は星で溢れかえってるよ。」
「もー!夢がないなぁ!こういうのは、想像するのが楽しいんじゃん!」
そんな会話をした気がする。正直あの日の前後の記憶は曖昧だ。なぜなら、翌日彼女は死んだ。元々僕と初めてあった日の時点でもうそこまで長くは生きられないと言われていたらしい。もしも。もしも神様がいるのなら、
「彼女を星にしてあげてください。」
それがきっと、彼女の夢だから。

テーマ:星が溢れる

3/15/2024, 5:11:03 PM