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夜空を見上げると、無数の星が静かに瞬いている。

その光は何千年も前に放たれたもので、今やっと地球に届いているという事実を思うと、自分の存在がとても小さく、でもどこかその壮大な宇宙の一部であることを感じる。

昔から人は星に願いを込めてきた。それは、届くかどうかわからない希望を、どこかに託したいという気持ちの表れなのかもしれない。

子どもの頃、流れ星を見つけると「願いごとを3回言えば叶う」と信じていた。だけど、流れ星が流れるのは一瞬で、慌てて願いを思い浮かべようとしても、気づけば星はもう消えていた。結局、その願いは言葉にできず、心の中にしまい込んだままだった。でも、その時感じた胸の高鳴りやドキドキは、今でもはっきり覚えている。もしかしたら、星に願うという行為自体が、叶えるための第一歩だったのかもしれない。

大人になるにつれて、願いごとはどこか現実的なものに変わっていく。健康であること、仕事がうまくいくこと、人間関係が円滑であること。子どもの頃の「空を飛びたい」とか「ヒーローになりたい」なんて無邪気な願いは、いつの間にか消えてしまった。でも、ふと夜空を見上げたとき、心の奥底にまだ残っている小さな夢の欠片に気づくことがある。それは日常の中で忘れがちな、純粋な自分自身の想いだ。

星に願うというのは、実際に星が何かを叶えてくれるという意味だけではない。むしろ、自分の中にある本当の願いを見つめ直す時間なのだと思う。星の光は静かで、強制することもなく、ただそこにある。だからこそ、人はその光に向かって素直な気持ちを打ち明けられるのだろう。

願いが叶うかどうかはわからない。でも、星に願うことで自分の心が少し前向きになる。それだけで十分なのかもしれない。星の光が遠い昔からここに届いたように、今の自分の願いも、未来のどこかで静かに光り出すのかもしれない。

だから今日も、静かな夜空を見上げてみよう。小さな願いを胸に秘めて。

「星に願って」

2/10/2025, 4:26:13 PM