寝華 '自分用メモ'

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「なんそれ、アロマ?」

「んーん、香水」

明日恋人と初デートするからオシャレなもん買ってくる、と意気込んで買い物に行って6時間。
ショッピングとか興味無いやつだったから、きっとすぐに帰ってくるのをからかってやろうと思っていたのに拍子抜けだ。

しかも6時間も買い物していたくせに、買ってきたのは香水のみらしい。
普通は服やバッグなど、ぱっと見てすぐに分かるようなものを買うのに。やっぱり、こいつに"普通"は通じない。

「なんの匂いのやつ?」

「え、あー…分からへん」

「はあ?」

「見た目がオシャレやったから…つい。でもこれ1万してんで、そこそこええ匂いするやろ」

いい匂いだったとしても、付け方が違かったら匂いが強くなって、たちまち不快な匂いになる。そうなってしまえば元も子もない。

「お前、付け方知ってん…ちょ、付けすぎやって!」

「うわ、ごめんごめん!」

「ほんま…自分の部屋でやれや!」

ああもう、絶対気持ち悪くなる。
今のうちに窓を開けておかないと匂いが移ってしまう。

それにしても、今回はどうもらしくない。前にいた恋人との初デートでもこんなに張り切ることはなかった。けど、服は買ってこない。オシャレな服なんか持っていないのに。
俺が貸すしかないかもな。
…嫌だな、俺の服着て、その香水を付けられるのは。

「じゃ、俺、明日どこ行くか考えてくるわ」

「……おー」

浮かれ野郎が去って、窓も開けているというのに、匂いは残ったまんま。

「あまったる…」

気持ち悪い。


@寝華


#香水

8/30/2022, 6:23:33 PM