永遠なんてどこにもない
当たり前のことで、初めから分かっていたこと
伽藍堂の瞳は何を映すか
透き通るあなたの笑顔に、今になってようやく気付く
顔を覆う程度の恥ならば晒してしまえば良かったのだ
今更いくら泣いてみても、乾いた砂が舞うばかり
両目を抉る覚悟があれば
心臓を開く決意があれば
逆巻く暗雲を切り裂く雷になれていたなら
あなたは側にいてくれただろうか
目を逸らすことをやめてしまえば案外簡単で
舌で転がす、子どもじみた甘い結論
あなたが憎かったのではない
あなたをあやめたかった訳でもない
本当は、白い首を穿つ度胸すらなくて
ただ、ただ、ひとえに繋ぎ止めたかったのだと
今ならはっきりと、雲海を開く一矢の如く
くだらない舞台で初めて見えたあの頃から
喝采も罵倒も掻き消されてしまうほど
そう、どうしようもなく私は焦がれている
与えられる愛など必要なくて
浸される栄光はガラクタに過ぎず
私はずっと、あなただけを求めていたのだと言える
まるであの太陽の花が冠する言葉
私が咲き誇る花になれたなら
あなたは摘んでくれるだろうか
白い指先に触れられる歓喜を
虚しい夢だと思いたくなくて
私は繰り返し目を覚ます
何度も生まれ、あなたのいない世界に絶望して
泡沫の理想に微睡んで、また眠る
隣に腰掛けて、私の功績を称えてくれる
あるいはただ穏やかに微笑んで、果物を分けてくれる
朝日に溶けるようなあなたの姿を
やがて月が昇る頃には、手を繋いで眠る
そんな幻想に浸っている
ねえ、愚かでしょう
みっともなく腐り、空虚に縋る吊られた男
あなたは何を思うのだろう
分かりきったこと、陽光は等しく降り注ぐ
それだけは今も憎らしい
私を見て、刃を向けて、閉ざしてしまえ
あなただけを、見つめている
(まって)
5/18/2025, 11:36:05 AM