しるべにねがうは

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冬晴れ

正月早々に変なものに絡まれるのは面倒だろ、と止められたものの、お嬢が馴染みの神社にお参り行くっていうから着いてきた。

「珍しく正月三が日、見事に晴れましたわね」
「年々気温上がってるよな。雪降らないとかザラだし」
「海面上昇、南極の氷も溶けていますしどうなることやら…」
「……地球温暖化って怪異的にはどうなんだ?」
「凍死する方が減ることと遭難する方が減るのは良いことかと。雪深い地域での災害も変わってくると思いますが……出る時は出ますし、影響が出るのは『雪』という現象がなくなってからではないでしょうか」
「……雪女とかやっぱ出る?」
「出る時は現世で降らずとも出ますわよ。雪が降ったから怪異が出るのではなく雪と密接な関係にあるなら気温が30度あっても怪異の出現とともにあらわれると思いますわ」
「気温30度で出現する雪女とか強すぎねぇ!?」
「まぁ流石にそんな強者は……よっぽどの理由がなければ出ないでしょうけれど。基本自分が強い場を整えますから」

冬の怪異が本領を発揮できるのはやはり冬である。
貞子さんやらも基本夏だよな。
白ワンピースって冬寒そうだし。
いやいつ出ても怖いけど。
季節に合わない服装の人ってそれだけで浮くし異様だよな。
顔見えないとさらに怖い。

神社に向かう途中の道ですれ違った、水浸しのスーツの男性とか。

「ところでさっきのって何もない?大丈夫?」
「不躾に見るのは感心しませんよ尾上君。でも以前よりは上手くなりましたね、視線を躱すのが」
「が…元旦に来なくてよかった、か…?」
「怪異の話してましたから呼びましたかねぇ…このまま鳥居まで続けましょう、一度撒けば十分だと思いますし帰りは石蕗を呼びますね」
「寝正月を遂行すれば良かったかな……」
「なかなかうまくいきませんわよ、なんでも」

新年早々、前途多難である。



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前回で第一部は完!ここからはお嬢と尾上くんが出会ってさよならまでのこぼれ話というかをちまちまやっていく所存です
順番ばらばらでいつか綺麗にまとめたい

1/5/2025, 11:10:01 AM