閉塞的で、酷く古ぼけた小さな街だった。
田舎特有の柵の多さと、排他的な思想が息苦しかった。
前に倣えで同調を求められる。
求められた枠組みを外れた途端に迫害される。
思想を統一される危うさを、誰も疑問に思いやしない。
偏った思考を強要される街で、全てを覆うような雪だけが、平等に冷酷だった。
厳しい寒さに、偏見を向ける厭らしい相貌は屋内に引き篭もる。
非難と否定の囁き声が路傍から消える。
思想に染められる前の無邪気な子供たちの喧騒を遠ざける。
灰色の腐った街を、白く、白く、覆い隠してくれる。
目を逸らしているだけとわかっている。
それでもまだ、この街から逃げ出すことの出来ない幼い自分は、他力本願に雪を待つ。
そのまま春すら来なければ良いのにと、刻を覆う雪を待つ。
12/15/2024, 11:42:07 PM