夕暮れ時、空に七色の光。
UFOだろうか。
いやでも、最近はいろんなタイプのドローンがあるらしい。
七色に光りながら飛ぶドローンなんてのも、普通にありそうだな。
しかも最近は、街中では飛ばせなくなったので、こんな田舎にまでやって来て飛ばす人が多いと聞く。
こんなんで騒いでちゃ、田舎者だって馬鹿にされるかもしれない。
うん、きっとあれはドローンだ。
家の裏手から、聞き慣れない言語が聞こえてきた。
そっと覗くと、銀色の巨頭巨眼な生物が三体ほど。
あれは、グレイってやつだ。
まさか、さっきのはホントにUFOで、それに乗ってきた宇宙人なんじゃ…。
いや、そんな訳がない。
さっきのはドローンだし、ドローンに人が乗れないことぐらい知っている。
きっとあれは、ハロウィン用の仮装なんだろう。
宇宙人の仮装だ。
今やハロウィンの渋谷は大混雑で、治安も悪いと聞くから、こんな田舎で仮装することにしたのかもしれない。
これから公民館にでも集まるのかな。
どこかで聞き慣れた声がして見上げると、ウチで飼っている牛が空へ昇っていく。
おお、キャトルミューティレーション?とか思ったが、ドローンにそんな機能はないし、仮装してBBQって訳でもないだろう。
そもそも、あんな重い動物をあんな軽々と吸い上げられるはずがない。
これはきっと、最近巷でよく聞くフェイク動画ってやつなんだろう。
どうやって見せられてるのかは分からんが、プロジェクトマッピングとやらで可能なのではないだろうか。
…知らんけど。
とにかく、村は今日も平和だった。
ドローンもハロウィンもフェイク動画も、都会で流行るものは、遅れてここにもやって来る。
それらを受け入れて、これからもこの村で生きてゆく。
山田太郎、77歳。
3/26/2025, 10:46:36 PM