―――きっと誰だってやった事あるだろ?
黒板に書かれた日直の名前に相合傘を書き足して
現実になれば なんて願って
恥ずかしくってすぐ消して
そんな甘酸っぱい想い出
やったところで何にもならないのわかってるのに
……ちょっとだけだから
すぐ、消すから……
イタズラに手が動いて君との間に傘を描く
「…っ、何してんだろ」
書き終わり、ふと、正気に戻る
「消そ、」
チョークで汚れてない手で黒板消しをつかみ消そうとした
その瞬間
その手が誰かによってとめられた
「えっ?」
「ストップ 。 なーに、可愛いことしてんの?」
顔を覗き込まれとっさに逸らす
――見られた、見られた… 見られた…!
恥ずかしさとか色んなものが込み上げて一気に顔が赤くなる
ち、違うって言わないと、
「え、いや、なにも、なく、て、」
動揺し、体ごと逃げようとする俺をつかんで、彼女は言う
「ふーん何も無いんだ、てっきり可愛い可愛い相方くんが、やーっと私のこと好きだって言ってくれるのかと思ったのに」
ざんねん、なんて言いながらも掴んだ手は離そうとしない
それどころか顔を覗き込もうとしてくる
今、顔なんて見られたら、赤いのがバレバレじゃないか
俺が、
俺が君のこと好きなのが、バレバレじゃないか…!
必死に抵抗するけど彼女に勝てそうもなくて
俺の涙目なった目と君の楽しそうな目が合う
「ねえ、それで…?」
「…へ?」
「私に言うことあるんでしょ?」
期待に満ちた彼女の目が
楽しそうな彼女の口元が
密着した手から伝わる彼女の温度が
その全てが俺に「すき」を自覚させる
あぁ、負けた
俺の負けだ
「っ!おれっ、君が…
お題:『相合傘』
6/19/2024, 1:30:08 PM