【優しくしないで】
いつからだろう、クラスのみんなに僕が見えなくなったのは。
いつからだろう…いつ間違えたんだろ。
そんな時、転校生の君が来た。
僕のことが見える唯一の人間。
『隣の席だねよろしく。』
「…」
けど、いつかどうせ見えなくなるんだろうから、
関わらない。関われない。
「僕に関わらないで…」
転校生は諦めず僕に話しかけた。
他の人に沢山声をかけられてるし、僕なんかいらないだろうに。
『一緒にご飯食べない?』
「食べないです。」
『お腹すいてない?』
「…」
僕が去った後、すぐに他の人に昼食に誘われている転校生。それでいい。他の人と同じになってしまえばいい。
『ねえ、なんであいつのこと無視してるの?
気分悪いからやめた方がいいよ。
声掛けてくれてありがと、友達は自分で選ぶから。』
教室の外。中から聞こえるその声に胸が震えた。
やめて。やめてよ…。
幽霊世界に慣れてきたのに、今更戻れないよ。
君のせいで、世界が崩れてく。戻っていく。
ねえ、それ以上優しくしないで。
5/3/2024, 2:42:34 AM