#15 鐘の音
[神父様の想いを乗せた音]
教会の鐘が鳴る。
時刻は、日曜日の午前10時30分を
まわったところだ。
私は、キリスト教徒ではないが、
毎朝教会の前を通ると、
本日のお言葉を書にしたためた貼り紙が
目に飛び込んでくる。
ある日のことだった。
教会でお葬式が行われていた。
神父様が亡くなられたからだそうだ。
式場の前を通ると、
亡くなられた神父様の熱い想いが伝わってくる。
心中で感謝の意を込めると、
葬式に行かれる方から会釈をしていただいた。
この神父様が、
何を思ってこの地で神父を務めていらしたか、
どれだけこの地を案じていらしたか、
お顔を拝見したことはないけれど伝わってきた。
亡くなる1カ月前程からだろうか。
妙に決死迫るお言葉だな、とは感じていた。
でも、この日を迎えるまで、
本日のお言葉はやっぱりキリスト教徒に向けて
記したものと思っていた。
しかし、この葬式を皮切りに、考えを改めた。
例え、異なる宗教でも神様を尊ぶ心に
変わりはない。
この亡くなられた神父様のように、
私も、この地を守る想いを持ちたいと
心から思った。
この日から教会の鐘の音は、
只の時報から
心を悔い改める音に変わった。
8/5/2024, 1:40:40 PM