暖かな陽光に照らされた時期は過ぎ、間もなく日は暮れる。しかし、ヒトが支配していられる間など長くはないだろう。
老賢者は宵の明星を眺めてそうつぶやく。
ここは緑や水・動植物たちが共存する世界でもある。彼らは我々よりも気の遠くなる年月を、調和で満たしてきた。
なのに我々はまたも世の理を破り、食べるだけ食べ、争うだけ争い、弱者たちを虐げてきたのだ。
我々は、またも共存の機会を学ぶことはできなかったということ。
この世の理が創造・維持・破壊の繰り返しなら、次の日を拝むことはないだろう。
小さく屈む老賢者に寄り添う兎や鹿たち。
影は長く伸びていた。
4/7/2023, 11:22:39 AM