与太ガラス

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「ごめん!夕飯の買い物お願い!」

 同居人からのメッセージを見て、なんかやらかしたな、と思いながら電車を降りた。

「ならたまには外食でも?」

 と書きかけたが、出られない理由もあるのだろうと考え「了解」とだけ返した。スタンプは使ってやらなかった。事情を聞かないうちはそこまで甘やかせられない。

 もともと今日は買い物をして帰るつもりだったのを思い出す。朝からゼリーが食べたかったのだ。コンビニでもいいと思っていたが、スーパーに寄るならスーパーの方が種類もあるし安いはずだ。

 駅前のスーパーに入り、食材を買っていく。この流れだと作るのも私か。なら遠慮せず好きなものを作ろう。明日は私が在宅の日だから、きっと明日も私が当番になるだろう。なら二日分の献立を考えて…。

 他人と一緒に暮らすようになって、自分が料理を作るのを苦にしていないのがわかった。むしろ家事全般を楽しんでいる。基本的なルールは「全ての家事を分担する」だが、相手がちょっとだらしないのもあって8割ぐらいを自分がやっている。

 「もう、しょうがないなぁ」と言いながらやってあげると、屈託なく「ありがとう!」が返ってくるのが心地いい。今はそれがいいバランスになっている。

 レジでお会計を済ませると手持ちのエコバッグは食材でパツパツになっていた。出ようとした瞬間、特売の棚に白桃ゼリーがどっさり積まれているのが目に入った。

 私は2パック取ってレジへと踵を返した。

10/1/2024, 3:22:07 AM