音茶

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お題『また会いましょう』

景色が灰色一色の荒廃した世界で、君とたった二人きり。
君の命は後少し。そんなこと医療知識のない僕にもわかっている。
「最後まで君を看取りたい。そして、僕も一緒に。」
こんな世界で二人きり、このあと一人で生きたって希望すらない。いつか死に絶える命だ。二人でなら少しは希望が見えたが、人類はきっと滅亡した。だって彼女と世界を回ったって一人として人を見つけられなかった。だから、一緒にここで死ぬのが一番いいんだと思う。でも彼女はこういった。
「ううん、私はここで『待ってる』。あなたが他の人を見つけたらまた会いにきて。」
僕はその言葉を受とり、立ち上がる。そして振り向かず声をかけた。
「また会いましょう。」
返事はなかった。でも、僕が振り向かない限り、彼女はずっと生きてきいる。シュレディンガーの猫とでもいうべきか。僕の他に生きてる人がいる…そう思うと心があたたかくなった。
「また会いましょう」、これは呪いの言葉かそれとも希望の言葉か…。
その答えはあるき出した先にある。
僕は一歩踏み出した。

11/13/2023, 10:49:35 AM