「あなたの娘になりたい」
「もし女の子だったら、俺、絶対可愛がりまくると思うんだよ」
「あー、なんかそんな感じするー」
同窓会で数年ぶりに会ったあなたの左手の薬指には、指輪が光っている。
来年にはパパになるのだという。
決して叶うことのないこの恋は、小さな箱に入れて埋めてしまおう。
私の本当の近況報告は、誰にも言わない。
私は来年の桜さえも、見ることが出来ないかもしれない。
そんなこと、絶対に言えないし、言うつもりもない。
最後に会いたい人に会うために、今日ここに来たの。
後悔せず残りの日々を過ごすために。
ずっとあなたのことが忘れられなかった。
この想いは、夜の闇に溶かしてしまおう。
だけど、ひとつだけ、願ってしまう。
叶ったとしても、願ったことなど忘れてしまうだろうけど。
生まれ変わったら、あなたの娘になりたい。
そうしたら、あなたに絶対に愛してもらえるのだから。
────蝶よ花よ
8/8/2024, 3:38:55 PM