海月 時

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「ずっと親友だよ!」
この言葉を思い出しては、私は彼女に謝り続ける。

「助けて。」
彼女が言う。彼女は、泣き崩れていた。私のクラスでは、虐めが起こっている。ターゲットは彼女。きっかけなんて単純だ。彼女が学年一のイケメンに、告白され振っただけ。それだけの事でも、虐める動機には十分だ。彼女は、その日から虐めに遭っていた。助けを求める彼女。しかし、私が彼女の手を引くことは無かった。自分が虐められるのが嫌だった。自己保身のために、彼女を捨てたのだ。最低。その言葉が日々、脳裏を支配する。募る言葉が後悔に変わったのは、彼女が自殺をした時だった。

彼女の死を知り、私は立つ事ができなかった。泣き続けた。謝り続けた。そして私は自然と、マンションの屋上に上った。フェンスを乗り越えた時、彼女の笑い声が聞こえた。私が振り向くと、白い翼が生えた彼女が居た。
『何で助けてくれなかったの?』
「怖かったの。でも、こんなの言い訳だよね。ごめん。」
私の言葉を聞いて、彼女は嬉しそうに見えた。
『許してあげる。そして、呪ってあげる。来世では、裏切れないように。』
彼女の言葉には、私は泣いた。こんな私と来世でも、一緒に居てくれるなんて。
「ありがとう。来世でも親友だね。」
笑顔で言う私を見て、彼女の顔が引きつった気がした。

飛び降りる瞬間。彼女が無表情で言った。
『ごめんね。私の虐め、自作自演なんだ。』
「えっ!何で!?」
『二人きりの世界に逝きたかったからだよ?許してね。』
彼女は、お茶目に答えた。後戻りしようとしても、時すでに遅し。私は、彼女に手を引かれた。そして落ちて逝く。

5/29/2024, 2:45:00 PM